1996 Cannondale M900
実測車重 | 10.1kg(TYPE-1) 9.9kg(TYPE-2) |
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当時価格 | \140,000 |
TYPE-1 (初期仕様)
TYPE-2 211215(MAVICホイールへリプレイス)
Overview(TYPE-1)
アリゾナのBike Mastersから販売された個体。当時のショップデカールがそのまま残る。日本へいつどうやって来たかは不明だが着手前はフルCODAパーツで構成された完全なオリジナル状態であった。それらをあえてストリップしてのチューンナップを施し魅力倍増とした。イエローを活かすブラックアウトの配色やメカニカルな雰囲気とカーボンパーツで構成した四輪車趣向のイメージビション優先マシン。デュラエースの超ショートレシオ8速ミッションとその頻繁なチェンジを考慮しての駆動系グレードを重視。シャキン!シャキン!と音を出して決まるシフト操作が気分を盛り上げる。
Impression
車体は軽いが動きに軽薄さがなく落ち着いている。先入観として硬質なイメージを持ったが実際には高性能と引き換えにガマンする部分はまったく無く全体バランスがいい。予想とは異なりかなり真面目な性格。前半分にはレスポンスと安定感の同居があり後部駆動系も含めまとまりの良さが伝わる。マシンの操作に大げさな動きを要求されず小さくコンパクトな入力で無駄のない伝達性が得られる。カタログにある「レスポンス」とは反応速度のことではなくそのインプットに対するアウトプットの効率、比率の高さであった。小さくコトが済む目的達成力がある。
(※1)
低速でのトラクション感、ぺダリングへの踏み込みから車体が反応してグッと前へ出る感じが好印象。グイグイとヒルクライムするような妄想をポジティブなビジョンに出来る。この蹴り出し感はハンドリングにもリンクし、駆動を掛けて行きたい方向へバランスする感覚はさしずめ2気筒モーターサイクルのようである。
フロントタイヤからの情報は濃くダイレクト。空気圧のセッティングにシビアで美味しい領域が狭くピンポイント、しかしそれは正確な判断へのガイドとなる。路面状況や接地感、タイヤ特性、ブロックパターンのヨレ具合まで感じることが出来て曖昧に誤魔化されることがない。極太ストレートフォークのイメージそのままであり、これをダートに持ち込めばサスペンションフォークへの進化論、歴史を教示されるだろう。
鋭利な個性ではなく全部が均等に整った優等生バイク、並行したラインナップにクランク位置の高いBeast of the Eastというスペシャル版もある通り、M900では安定性に振った味付けでポジショニングされる万人向けの幅広さを持つ。当時のカタログ価格14万円はそのユーティリティとの吊り合いも絶妙設定、良き時代のビジネスモデルとしてもヒストリーを読み取ることが出来る、夢と想像を掻き立てる一台。
総じてスピードを出すこと、自在に操ること、動き止まること、自転車の最も基本的な愉しみをその軽さから得た高度なバランスマシン。MADE IN USAのデカールも誇らしくアメリカ国内で手作りされたアルミバイク、1996年のそれは今は無きCannondale Bicycle Corporationが最も繁栄していた時代のレジェンドである。(現在のキャノンデールはブランド名が継続された他社にある)
Appendix-1
(※1)正体不明のカーボンクランクは1995年の古誌にヒントを発見した。Appendix-2 201014
フロントディレイラーをLXからXTRへ更新。FDの場合は機能上のグレード差異をあまり感じない。LXでも不都合のない良い製品である。RDがXTRなので見た目の構成合わせのみ。ヘッドセットはFSA ORBIT MX。ヴィンテージではなく現代のパーツだが素晴らしい逸品なので採用した。価格の割に品質がたいへん良く、特に取付初期から微調整無しで「首スルッスル」が評価高得点。ここが柔らかいとマシン全体の動き、体感フィーリングが大きく向上する。しかもeBAYで最安値に遭遇!「有り得ないハイC/P」と見止めて即買に至った。ハイトが高くコラム長が足りなくなったのでカンチブレーキのハンガーを抜き、代わりにフォーク股に取り付けるタイプに変更。構造上しっかりとは固定されず左右に不安定、ブラックで統一されたチドリ周辺のメカ感は好印象、固定対策を熟考中。
<追記201018> 天候都合で翌週に試乗となったがFDは残念ながら相性が良くない。後ろギヤのトップ、ローの両方でチェーンがガイドプレートに当たり許容幅が狭い。取付位置を様々に試したが限界のようである。推奨されていない組み合わせであること承知の上で結果は想定内、元のLXに戻せば実験完了。
ブレーキハンガーの取付対策は、回り止めのギザギザワッシャーをリューターで削り、車体側取付け部のアールに沿った溝を加えた。フォーク股のアルミポップナットは強いトルクが掛けられないのでドリルで削り落とし、ハンガー部品に付属してきた鉄の雌ネジインサートを使う。こちらはしっかりと結果が出て「本来こうあるべき」に至る。スローパンクの修理やカンチブレーキの再調整などを終えて今回の改新作業はコンプリート。とてもいい状態である。
Appendix-3 211215 (TYPE-2)
ホイールをリプレイス、テーマカラーが共通するMAVICを用いてブラック&イエローの完成形に至る。実測車重も9.9kgとなり-200gの軽量化を達成。キャノンデールにマビックはとてもよく似合いブランドマッチングとしての統一感も得られて理想的な全体像となった。乗り味は従来と変わらず明確な差異を感じ取れなかったが差し引かれたマイナス点も特に無し。
ビードの納まりを整える目的でやや高めの空気圧4キロ強まで入れた。数日放置した後そのまま横着に乗り出したがこれが新発見!舗装路をハイスピードでぶっ飛ばすにはとても好感触、車体バランスが良く全体がビシッと整ったイメージ。高圧での跳ね感にも心地よさがあり、ホイールやアルミフレームとの相性が空気圧によって得られることを高度に習得した。
90’sキャノンデールの利点は塗装が強いことにある。表面のクリアは硬くキズが付きにくい、退色も出ないので躊躇なく気軽に乗り出すことが可能。飾り物になるヴィンテージは不要、使えるヴィンテージであることがとても好ましい。遠い未来まで日常使用を継続させながらこの高品質を維持できるだろう。
Specifications
Frame | Cannondale M900 / 1996 / BI-0302 00404 140489 6L5T18 |
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Headset |
Dia Compe USA AheadSet |
Bar | WR Compositi |
Stem | Critical Racing ☆☆☆Very rare !!☆☆☆ |
BB | |
Crank | (※1) |
Rings | Race Face 44-32-22 |
Rear Derailleur | SHIMANO XTR 950 8s |
Front Derailleur | SHIMANO LX |
Shift levers | SRAM ATTACK 8×3s |
Brake Set | TRP REVOX |
Brake levers | DIATECH Mx2 |
Front Hub |
ROLF SATELLiTE |
Rear Hub |
ROLF SATELLiTE |
Rims |
ROLF SATELLiTE |
Tires | MICHELIN Country Dry2 |
Seat Post | WR Compositi |
Saddle | selle ITALIA X1 |
Pedals | TIOGA SureFoot 8 |