Cannondale RiGiD CUSTOM

実測車重 9.5kg
当時価格 \110,000 (2003 Bad Boy)

Overview

アーバンスタイル、ストリートファイターと銘打って現行キャノンデールにもラインナップされるBad Boy、2003年型はその元祖となる初代モデルである。当HPの年式テーマからは反れるが90年代のテイストを色濃く残すシンプルな車体構成が特徴。「バッド」で「クール」な「イカした」スタイルは当時の最新モード、ただし設計自体は過去のものであり1996 M900と現物比較するとフレームは全く共通。今日まで気づかなかったが専用設計ではなく流用モデルであったのだ。企業としての効率的なビジネス手法を評価しよう。本質は90’sそのものであるから当ガレージへの入庫理由は「然り」である。
20年の歳月を刻んだそのBoyはあいにく深傷の多い「夢のあと」、早期にフルレストアを想定し当時を超える上級車両へのカスタムアップを計画、デカールの入手や塗装業者の手配に至る。
  
ロゴはeBayで各年代のフルキットが豊富に選択可能、90’s前半の細いクラシック書体がいい。塗装の依頼先は上村塗装工業所、MTB全盛期に数多くのフレームを手掛けた老舗だ。メールと電話での口頭打ち合わせも行ないすぐに梱包発送、仕上がるまで約1か月、待ち時間も期待度抜群の2021年秋である。
   
完成品が到着した。すぐに電話でお礼を述べてから開梱、もうこの時点で高度な職人技が魅れる。ポップナットやRDハンガー部のマスキング、キズの補修、丁寧な梱包..... 事細かな指示は一切出していない、当たり前のことを平然と熟(こな)す専門度の高さが価格を超える。
    
ブレーキやクランクなども随時調達。集まったレアパーツはどれもNOS(New Old Stock)やVGC(Very Good Condition)で美しく、カーボン/グレー/メタリックでの色合わせも整った。ホイールはとても希少なシトロンカラーのMAVIC X517、モノトーンの構成案はこのホイール在りきでスタートした。スポーク数が前28後32と変則であるが強度と軽量化の合わせ手法が当時からあったらしい。技術としての希少価値がウェルカムな逸品。
仕上がりは兎に角カッコいい、そして軽い。実測9.57kgはクロモリフォークの重量ハンデを超えてかなり優秀、操作性の軽さも相乗されそれ以上のライトフィーリングである。1.5幅の高圧スリックタイヤが以外にもよく合う。「フレームが硬い」と言って短所を補う考えはバランスを崩すはずだ、長所利点を見極め活かす方向が正解だろう。アルミフレームの速いレスポンス、高反発な性格を意識しての全体チューニング。

マシンを自分に合わせるのではなく、その個性・特徴の理解に努める考えで「自分を合わせる」が王道、伊製モーターサイクルから習得した思考がここでも活きてくる。

Impression

試乗初期から完全セッティングが出ていて驚きの完成度!偶然だとは思うがすべてがパーフェクトで調整や改良の余地を発見できない。ガレージワークのみで超速ゴールイン、各パーツの扱いやすさやシンプルな構成に導かれたのだろう。
走り出しはとても軽くシグナルダッシュの速さが売り!たしかに「ストリートファイター」だ。市街地で多用する中速域まではMTBを超える軽量感、抵抗の無さ、入力に対するアウトプット、スピードのノリが最大でエネルギー消費も最低限。パワー効率として他の全ての保有車両を上回る。そして、そのまま高速域まで伸びるかと言うとそんなことは無く26×1.5のパフォーマンスは超えないレベル、これは当然の結果であるが軽さの印象が強いのでロードバイクのような領域をつい期待してしまった。MTBとしてはとても高度な走行性能を持つので評価を下げる部分ではない。Bad Boy本来のコンセプトを崩さずにさらに鋭利化された。

ハンドリングは直進付近がヒラヒラと軽くよく動くので一見不安定に感じるかもしれない。理解力が必要な部分であり少し高度、試しに手放しでの直進性、セルフステアを確認するとフラつかず真っ直ぐ走るので問題はない。幅広ライザーバーの影響もあるだろう。それとは裏腹にコーナリングには安定がありバンクしていくと落ち着く。外径の小さいタイヤがパタンと倒れこむようなことは一切なくどちらかといえばアンダー気味でシビアな動きを感じない。タイヤのプロファイル形状がよく出来ていると思う。

駆動系パーツの組み合わせが適切なようでシフトチェンジは素早くカッチリ決まり気持ちがいい。そして次が大事!
4.5キロの高圧タイヤでも不快なショックや衝撃が無い。これは想定外の出来事だ。カーボンハンドルの吸収性は(経験上)よく効いていると思う。クロモリフォークの恩恵があるかは認知できない。後ろ周りを含め車体全体での硬質さは一切無く、懸念したゴツゴツ感が出ていない。路面の継ぎ目や段差を超える「コン!」というフィーリングが大変良好でMTBとしてとても好感な味付けだ。振動や衝撃の少なさと駆動系からの騒音も極少、タイヤノイズも小さい。見た目に反して静かに落ち着く面があり大人なフィーリング、意外な性格を持ってジェントルに整った。

MTBだが少し違う、どのカテゴリーにも属さない個性的なオンリーワン、未知の領域にカスタムアップされてもネガティブな不快感や差し引かれたマイナス面も無く軽さと走行性能「=長所利点」のみが大きく向上。ファイターなれど温和なエッセンスが加わった熟成の上級車、もうバッドなボーイではない。改良課題を残さず早く完成してしまったことがちょっと残念な完璧コンプリートマシン。

 

 

 

 

 

 

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通勤快速は通勤最速

数日間連続して同じルートを試走、慣れた固定コース、まだ薄暗い早朝6時、感覚が研ぎ澄まされたクリアーなインプレを同条件で繰り返し検証、偏差無し。
上り、下り、雑多な表通り、簡易舗装の畑道、どこを走っても速度が常に高い。MTBのツーランク上、使用するギヤも2〜3枚上、身体のコンディションによってはさらにその上を行く。ひび割れた石畳のような劣化路面でもそのままのスピードを維持して滑らかに通過する。タイヤの衝撃吸収性も高いように感じる。そのタイヤ含め各パーツの構成、組み合わせがとてもいい状態だ。マッチングの補正や個別での配慮が全く不要、仕上がりの全体レベルがとても高く、偏りや突出なく全部がアベレージを超える。
馬力の無いエンジン(乗り手)を補い、負い目を抱かない高いスポーツ感覚でストリートを楽しめる。氷点下でも寒さを忘れて気持ちの良い乗り味に満たされる。血液と酸素がからだを巡り一日のスタートを整えてくれる頼もしい伴侶。日常への有用性、その運動効果が心身に波及して今日の全てが豊かで芳醇な時間に変わる。オールドMTBの文化的価値よりも道具としてのユーティリティが強いので当ガレージの趣旨からは少し外れるだろう。特別扱いで参考程度の掲載とする。

Specifications

Frame Cannondale Bad Boy / 2003 /  ☆☆☆Custom paint☆☆☆ 
Headset FSA ORBIT MX
Bar EASTON Monkey Lite XC
Stem TITEC 90mm  ☆☆☆Custom paint☆☆☆
BB SHIMANO DURA-ACE BB-7410
Crank FSA Carbon 170mm
Rings AVITAR 9441B
Rear Derailleur SHIMANO XT RD-M750
Front Derailleur
Shift levers SRAM ATTACK 9s
Brake Set AVID SINGLE DIGIT 7
Brake levers SRAM ESP 9.0
Front Hub SHIMANO XTR HB-M950
Rear Hub SHIMANO XTR FH-M950
Rims MAVIC X517 Citron ☆☆☆Very rare !!☆☆☆
Tires WTB SLICK 1.5
Seat Post Cannondale C2 Carbon Aluminum
Saddle SDG BEL-AIR
Pedals WELLGO M111

 


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