1994 KLEIN Fervor Nebula Grey

実測車重 8.81kg
当時価格 参考:国内仕様では\112,000(フレーム+クロモリフォーク)

Overview

激レア度!最頂点!! 見たことのない特別カラーを廉価グレードFervorに組み合わせたカタログ非掲載モデル、そしてミントコンディションを30年キープしてきたヒストリック車両。見事にジャストな90’s Classicsを敬意を持って引き継ぎいたしました。イギリスのブリストルから発送された超々スペシャルはNebula Greyと言う色名称で「super rare colour - original factory paint」と説明されていた。遥か地の裏側から届いた現物はその通りに偽りのない素晴らしいOld KLEIN、上位グレードでなくてもその価値は最上級に値する。

絶頂期1994年のクラインファクトリーではこんな素敵なアートパフォーマンスで「仕事を楽しんで」いたのだろう。当事者達は民衆の驚きを夢想して笑みを浮かべていたに違いない、そんな意味深いヘリテージを私が継承することに至った。当ページをご覧いただいた皆様と共に文化歴史を共有したい。
    
初期時から好条件が満載、DHLの受取は予定よりも大幅に短縮されて僅か8日間で到着した。そして驚くほど大きな箱に入っていたがその理由は開梱しすぐに理解できた。後ホイールをフレームから外さないことで箱サイズは大型化、しかしリヤハブの突き出しによるダメージを防ぐには最善の対処となる。多くの場合135mmの先端が段ボールを突き破りフレームにも接触する恐れがある。とても深い考えで厳重にパッケージされていたのだ。このカラーリングでは深いガリキズがあっても目立たないメリットが売り手にはある。最悪想定での心の準備を整えてから開梱、結果はウェルカムな取り越し苦労にて突破。ミント表記に偽り無し、素晴らしいコンディションに感謝。
   
入庫時の仕様はXT737グループセットとMission Controlハンドルバーのパーフェクト構成、そして当ガレージの徹底したフルOHメニューと同時に少し手を加えた。筆者にはポジション調整が必要だったこと、それに伴いレア車両×レアパーツの組み合わせでさらなる希少性向上と軽量化を狙う。もちろん取り外したパーツは車両と共に手厚く保管し維持継続とする。将来、私以外の誰かが継承する場合には身長条件が付くだろう。
製造期間の極めて短いFervor、検索を試みると情報量は多く好調な販売であったことが覗える。Nebula Greyに限ってはドイツやその隣国ポーランドからの画像を発見。前出94キャンディレッドが日本向け特別カラーだったように限定のロットがあったのかもしれない。
    
94Fervorはとてもいい車両である。カタログには「アドロイト同様のレーシングモデル」と記載され、実際に乗ってみるとまさにその通りで機能性能にはまったくそん色が無い。Attitudeと同じチューブを用いた超軽量フレームは完成車8キロ台(!)を実現可能、オーソドックスなクロモリフォークも高バランスでマッチング。廉価グレードなのに乗れば最上級、そして当時¥112,000(国内モデル)の低価格!90’sコスパ車ベストワンと言い切れる。さらにこの個体は職人の感性と労力を存分に投入したスペシャルファクトリーペイント!過剰在庫の整理という社内事情もあったらしいが購入者にとっては「旨すぎる話し」で「お得すぎ」だ。Fervorの乗り味を正しく評価できる「解かる」人だけが知っているオールドMTBのドリームがここにある。
OHを開始、クランクを外しBBの具合を確認するとゴリゴリがある。あの名店の「Dr.」を頼るべく検索するとなんと閉店!いつかお世話になるだろうと先送りが続いていて油断をしていた。幸いにも「メンテナンス業務は予約制で」と連絡先が記されており一筋のNebula(星雲)が見えた。この後の経緯は個人情報の保護観点から割愛するが、良好な結果と素敵な人脈を得て素晴らしいエクスペリエンスに至る。90’s MTBの文化と歴史に着目した当ガレージとしては最も望ましく正しい行動だったと思う。モノだけではない、芸術家と同じく人物や技術も貴重な伝承対象になろう。個人が保持する無形の「わざ」に大きな価値があり、お金では買えない大事なものと、私にとっては生きざまの見本、お手本がそこにある。そのDr.にして「見たことない色」とのこと。日本国内にNebula Greyは他に存在するのだろうか?情報があったら是非お知らせ願いたい。

Technical notes

ブレーキの調整に少し遠回りをした。リヤは1mmのスペーサーを挟んでトーインをセッティングしたが完成するとほぼゼロ、レバーの感触はカチッと硬質で鳴きは出ない、結果良好なのでここは近道。フロントも同じ手法で1mmとしたが結果は2mm以上に大きな角度が付き鳴きも出る。試しにトーインゼロで組むと鳴き無しタッチ良しで合格。リムとの当たりをよく見るとシュー先端で少し隙間が出来ている。ユーズドシューの減りがフラットではなく少し湾曲していたようで、これがトーイン代わりとなり良好な結果をもたらした要因ではと推測。となれば新品シューも当たり面を削り角度を付けることで鳴きとタッチをコントロールできる? 画期的な実験テーマを授かったので後日のお楽しみにしまっておこう。

Outcome

組み上がった実測重量は8.81kg!軽さは最も優れたチューニング手法であり目指したとおりに仕上げることができた。車やバイクでも同じように軽い車体を求め多くの体験を蓄積してきた。性能を極めたレーシングスペシャルを公道に乗り出せば不都合な面も出るが、自転車にはそれが無く全ての機能がポジティブに向上する。パワーアウトプットも上昇し疲労も軽減、いいことづくめで代替損失が一切ないのである。軽さや操作性を重視して当ガレージに集まった個体は94年型とその直近に集中する。90’sクラシックスの絶頂期はやはり1994と定義できるのではないだろうか。
Fervor自体のインプレッションは94キャンディレッドで既出、装着パーツもスタンダードなXT737と他車からの転装品で今回は目新しい試乗体験をしていない。高度に整った全体パッケージ、軽さの恩恵も出し切り全てが筋書き通りに予定調和、意外性の少ない定常的な結果に着地した。トップエンドではないグレードにXTの組み合わせは躊躇なく日常使いが出来る。求める性能が全て備わり所有意義と価値も潤沢、Old KLEINの弱点「色あせ」も気にせず毎日乗っていい気軽なビンテージMTB、これ以上何を望むだろうか。当ガレージのスタンダードがここにあり!「最後の晩餐」とするならば白いご飯と味噌汁、そしてKLEIN Fervor Nebula Grey.

 

Specifications

Frame KLEIN Fervor / 1994 / 20L1093744
Headset SHIMANO HP-M740
Bar KLEIN STRATUM90
Stem TITEC 105mm 20d
BB Genuine parts (bearing replacement)
Crank Syncros Cold forged
Rings AVITER 9434B
Rear Derailleur SHIMANO RD-M739
Front Derailleur
Shift levers SRAM ATTACK 9s
Brake Set SHIMANO BR-M737
Brake levers MachineTech ZEROFLEX
Front Hub SHIMANO HB-M737
Rear Hub SHIMANO FH-M737
Rims Mavic 217
Tires MAXXIS MAXXLITE 285
Seat Post Syncros
Saddle selle ITALIA Flite (Old model)
Pedals TIOGA SureFoot 9

 


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